No.3


ホテルモスクワに帰ってきました。何とこれはホテルの自分の部屋から見える風景です。ちなみにこのホテル、この側と逆側ではえらく景色に差があります。こちらは当たり。さらに、私はツインをシングル使用しましたが、シングルの人もいたとのこと。これもえらく条件が違います。単に割り振りの時運がよかったかどうかの違いで、何とコンサートマスターはシングルだったとか。なんのこっちゃ。手前の緑の屋根の建物は入り口、そして奥にある黄色い建物はアレクサンドル・ネフスキー大修道院です。入り口を入って右側の墓地に、ドストエフスキーや、チャイコフスキー、ムソルグスキーなどロシアの偉大な作曲家達の墓があります。

部屋でしばらく休んだ後、地下鉄に乗って中心部に行き、巨大デパートというよりは巨大な店の集合体ガスティーヌ・ドヴォールの向かい辺りにある、Nevsky Prospect 40というお店に食事に行きました。住所がそのまま名前になったレストランです。地下鉄の乗り方は、インターネットで調べ、地球の歩き方を読み、ロシア人ガイドのナターシャさんに聞いたものの非常に不安。出発直前に現地に住んでいる日本人スタッフに聞いたところ、地下鉄の乗り方と共にこのレストランを紹介してくださり、急遽行き先を変更。ホテルからすぐのところにある地下鉄乗り場に行って、切符売り場で切符を買う。ここのおばさんが、常にえらく不機嫌。投げ捨てるようにお釣りを出す。特に切符を1枚買うときはひどい。たくさん買うときはそうでもない。何故?切符といってもコイン。これを改札機に入れて遮断機を押して通る。他にカードもある。地下に伸びるエスカレーターは日本の倍程度の速さで進む。このエスカレーターが長い!100メートルほど地下にもぐるそうな。スターリンが戦争の際のシェルターにするため深くしろと命令したという未確認情報。所要時間約2分。地下に降りても何が何だかさっぱり分からない。地球の歩き方に載っているロシア語と照らし合わせてみるのだが理解できない。後で綴りを省略していることが判明した。人が非常に多い。5分もしないうちに次の地下鉄が来るのに、ホームはすぐに人であふれる。ちなみにナターシャさんによると、現在のサンクトペテルブルグの人口は480万人。以前はもっと多く500万人を超えていたが、最近の不況で産む子供の数が減り、現在はこういう数字なんだそうな。
何とか無事レストランに到着。このレストランは今回の旅行でNo.1!何を食べてもすばらしい!サラダ、ボルシチ。メインの豚肉で野菜を巻いた料理もうまい!それ以上にこの料理の付け合せのジャガイモを揚げた料理が絶品!さらにデザートのアイスクリームの美味いこと!付け合せの果物も美しく盛り付けられ、言うことなし!充実した夜を満喫しました。

10月15日
午後からリハーサル。1時半フロント集合ということで時間があまりなく、ホテルの目の前のアレクサンドル・ネフスキー大修道院へ。同じ考えの人多数。まず入り口を入って右側にあるチフヴィン墓地へ。


これはムソルグスキーのお墓。


やはりチャイコフスキーのお墓が最も豪華であった。
他にもボロディン、リムスキー=コルサコフなど多数あるが、あまりお墓ばかりになってもということで割愛します。

その後大修道院へ。やはりここでも儀式とそれに伴う合唱。ここは男声合唱であった。

ホテル2階のバイキング方式のレストランで食事。350ルーブル。我々にとっては1200円程度だが、一般のロシア人にはとても高くて入れない値段でしょう。ここの料理は結構うまい!今回の旅では、基本的に料理はおいしかった。これには強い円で贅沢な食事をしたという面もありますが、基本的に味付けのセンスがよく、ドイツよりもはるかに食事はおいしいです。

ホテルからバスでネフスキー大通りを通りホールへ移動。この大通りはいつも非常に混雑している。それほど大した距離でもないのに、ひどい時はホールまで30分かかる。
ホールに到着。国立フィルハーモニー。この街でもっとも音響のよいホール。かつてのムラヴィンスキー指揮レニーングラード・フィルの本拠地。もちろん現在もオーケストラの名称は変わったが、サンクトペテルブルグ・フィルの本拠地です。

実は後ろにオルガンがあったのだが、何かの関係で現在はカーテンになっている。これがやたらと音を吸い、木管後列の音が客席に届かない。ひな段を高くする、椅子を前に寄せる、後ろに今回持ってきたアクリルボードを置くなどの対策を取ってもらい、リハーサル2日目には大分ましになった。ただ、木管が客席から見えにくく、本番後にもっとソロを演奏している人を見たかったという意見がお客さんから寄せられた。音響は基本的に素晴らしく、特に弦楽器はよく響き、大きく、まとまりがあり、艶やかな音色に聴こえる。普段定期演奏会を行っている広島厚生年金会館とはえらい違いだ。あのホールでは弦楽器はまとまりがなく、ぱさぱさと乾いた音に聴こえる。
ちなみにこのホール、毎晩本番があるようで、リハーサルも短い時間しか取れないし、毎日セッティングして終了したらすぐばらして。ステージマネージャーは大変!帰り入り口には燕尾を着て民俗楽器を持った人が待機していた。

さて、リハーサルの後ムソルグスキー劇場でボリス・ゴドノフを観たのだが、これが長かった!一応大体のストーリーは調べていったのだが、細かいところはやはり分からない。魅力的な音楽ではあるのだけど、退屈な時間も長い。7時開演で終わったのが10時15分。帰ったら11時前。しかも時差ぼけが治っていない。しんどい。でも非常に勉強にはなりました。ロシアの天気、気温、雲の様子。教会での儀式、合唱、祈り。こういったものが全てそのままオペラになっていた。それとロシアの暗く重い歴史。今後ロシア音楽を演奏する上で、今回の経験は重要な意味を持つと思います。

ホテルに帰って、24時間営業の売店にビールとちょっとした食事を買いに行くと、その店の前のテーブルで弦の首席を中心とした皆さんで盛り上がっていたので私も混ぜてもらってしばらく飲んでいました。

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