2006年6月25日 第1回信州・乗鞍天空マラソン

標高1800mから2700mまで標高差900mを11.5kmかけて登り、同じコースを降りてくるという過酷なレース。
ただ、今回は順位やタイムを全く気にせず、写真を撮りながらゆっくりと走ることにした。
本気で走った場合に2700mの折り返し地点付近で自分がどういう状態になるか分からない。
それに順位やタイムを気にすれば下りをかなりのスピードで走らなければならないが、そうすると膝を痛める恐れがある。
記録や順位は平地でのハーフ及びフルマラソンでこだわろう。
今回は景色を楽しみながらの高地トレーニングのつもりで走る。


スタート地点の三本滝レストハウス。



第1、第5エイド。
スタート地点から5kmのところだが、すでにかなりの雪がある。
山頂付近は夏スキーのメッカである。
ここでは自然保護のため、通常のマラソンで認められている紙コップのポイ捨てが禁止されている。
そのためその場に立ち止まって飲まなければならない。



写真を撮っていたら日本語の上手な外国人の方が、「撮りましょうか?」
スタッフは皆さん親切だった。



乗鞍岳剣ヶ峰3026m。
近くまで道路が通っているため、最も簡単に登れる3000m級の山と言われている。
一度登ってみたい気もするが、私にはやや物足りない。
折り返し地点が近い。
この辺りはやや頭が痛くなった。

ここで千葉選手とハイタッチ。
その直前の写真があるのだが、残念ながらぶれていて使えない。
昨日のランニング教室で、「皆さん、明日はハイタッチしましょうね。」と言っていてが、本当にすれ違う全員とハイタッチしている。
開会式でのあいさつでは、一声で場の雰囲気が明るくなる。
貴重な人だ。


雪の壁。
今回のコースは自然保護のためマイカーは入れない。
路線バスのみ通行を認められている。
そのバスも運行するのは7月1日から。
その直前、車が全く通らない中でのマラソンである。
右側はまだ登っている皆さん。
疲れて歩いている人が多い。
後ろの方は、女性、女性の連れの男性、高齢者が多い。
左側は私より速いので皆さん走っている。
今回企画に関わっている三浦さんによると、向こうに見えるのは穂高連峰だそうだ。
今回のコンディションは最高であった。
晴れると暑い。
雨が降ると寒くて辛くなる。
三浦さんによると、曇りでしかも穂高連峰がきれいに見えるというのは記憶にないそうだ。
昨日は好天だったし、非常に幸運だった。



ゴールまであと1kmというところで、アルペンホルンの和音が森をこだましながら聴こえてきた。
明らかにアマチュアだが、森の向こうから聴こえてくるその和音は非常に感動的だ。
しばらく体に電流が走り、目頭が熱くなる状態が続いた。

呼吸は最初から吐くことと同時に吸うことも意識するレベル3。
常に呼吸を意識し、消費酸素量よりも摂取酸素量がやや多くなるように足を動かす。
基本的にはストライドが広くならないようにする。
きつい登りでは、歩いている状態と走っている状態の中間のような「歩き走り」で走る。
登りはゆっくりと走ったこともあるが、思ったよりもずっと楽だった。
もう終わり?と残念なぐらいであった。
下りは意外ときつい。
下りの方が足は疲労する。
ただ、今回は下りもゆっくりと走ったので走り終えても筋肉痛は感じない。
今回のレースのきつさは、富士登山の3分の1、自己記録更新を目指すフルマラソンの4分の1という感じである。
どんなにゆっくりでも走り続けるという目標は意外なほど簡単に達成できた。
もっと速く走ってもよかったぐらいである。
タイムは2時間38分、順位は三百数十人中161位だから真ん中ぐらいである。
フルマラソンでは上位15%から20%には入るので、自分の実力よりはかなりゆっくりと走ったということになる。
途中写真を撮るために費やした時間の合計は1分30秒ぐらい、エイドでの時間の合計は1分ぐらい。
いずれも順位やタイムに大きく影響するほどではなく、ゆっくりと走ったということが基本的にこの順位、タイムにつながっている。

<温泉>
今回集合地点の隣にある温泉の無料入浴券がついていたというのはうれしかった。
走り終えたランナー達で混雑したが、硫黄の臭いがする本物の温泉だし、大自然の中の広々とした露天風呂は見事だった。
最近露天風呂といっても名ばかりのところが多いが、こういう場所だからこれだけの露天風呂が作れるのだろう。
宿泊したペンションも同じ臭いの温泉がついていた。
走っている途中も同じ臭いのする場所があった。

<三浦理論>
今回の企画に関わっている三浦さん。
レース中にもいろいろとお話し、帰りのバスを待つ間も何名かでしばらくお話することができた。
レース参加者三百数十名。
これぐらいの小規模レースの方がいろんな人と触れ合うことができる。
三浦さんのランニング理論がなかなか面白かったのでご紹介する。
今後ランナーズというランニング雑誌に記事を連載する予定があるそうだ。

「フラット走法をすれば速くなるのではない。
速い人は結果としてフラット走法になるのだ。
腕振りは肩甲骨が動くよう意識する。
そうすると背筋が伸び、太腿が上がり、速く走れる。
その結果フラット走法になる。
アマチュアランナーは肘で腕振りし、ふくらはぎで走る。
LSDをやればやるほどその傾向は強まる。
これからは歩きだ。」

つまり肩甲骨を意識したウォーキングで、ランニングのためのトレーニングをしようということらしい。
詳しくはまたランナーズの記事を読んでみよう。

千葉選手の話も伺った。
千葉選手はあまり長い距離を走るタイプではないそうだ。
練習は2時間をめどにしている。
距離は平均1日25kmぐらいか。
その代わり毎日走る。
また、一人でも追い込んだ練習ができる。
高橋尚子選手が、一度完全に走るのをやめ、また1から作り直すのに対して、1からまた作るのは面倒と常に走っているそうだ。