2008年6月2日金峰山(きんぷさん)

6月1日
瑞牆山荘に宿泊。
山小屋にはまだ泊まったことがない。
水は当然出ないのか?
そうするとコンタクトはどうしよう?
ペットボトルの水で手を洗うしかないか、などと心配事が尽きない。
それに比べると、ここは風呂もあるし快適だ。
日曜日なので客も少なく、1部屋を1人で使うことができる。
珍しい、きっと近くで採れた山菜の天麩羅など料理もよかった。
ただ、大食いの私としてはもっと量が欲しいところだが。

夕食を終えても6時前。
やることがない!
パソコンは当然持って来ていない。
もし持って来ていても、携帯は圏外だし、LANで接続できるはずもなく、公衆電話が1台あるのみ。
図書室があったので、置いてあった漫画の三国志を借りて読んだらこれが面白い!
しかしひどい話だ。
死者の数は天文学的数字だし、殺したり殺されたり裏切ったりと何でもありだ。
特に曹操が世話になった叔父を殺す話はひどい。
結局こういう過去のある人には天下は取れない。
人が信用しないからだ。
普段、こういう旅館のような布団では寝られないことが多いのだが、登山のおかげでぐっすりと寝ることができた。

6月2日
明るくて目が覚めた。
時計を見ると4時半。
起きるにはまだ早い。
皆さんはカッコウが近くで鳴くとどれぐらいの音量かご存知だろうか。
近くで鳴かれると滅茶苦茶うるさい。
とても寝ていられない。

5時半起床、6時朝食、6時45分出発。
今日は金峰山だ。
途中富士見平までは昨日と同じ。
今日はここを右に行く。

今日の方が距離は長いが道はましだ。
1時間ちょっとで大日小屋に到着。



大日小屋から20分ほど登ると大日岩がある。



道が険しくなってきた。
昨日ほどひどくはないが、注意しないと怪我をする。
途中積もった雪の上を歩かざるを得ない箇所があった。
昨日のバスの運転手に、「アイゼンはお持ちですか?まだ雪が積もっているところがあるようですので、決して無理はしないでください。」と言われたのを思い出した。
ガイドブックには5月10日までが残雪期でそれ以降は登山適期と書いてあったのでまさか雪の上を歩くことになるとは思わなかったが、アイゼンが必要というほどではなくほっとした。

森林限界を超えると、そこは絶景!
写真を撮り、ビデオで360度の展望を撮影し、数歩歩くとまた撮影したくなる。
歩を進めるごとに変化する光景が美しい。

山頂が見えてきた。
尖っているのは五丈岩。



あまりにも感動して、眺めたり写真を撮ったりしているうちに、登り初めに追い抜いた団体が追いついてきた。
私はどうも団体行動は苦手だ。
好きな時に登りたいし、好きなように歩きたいし、好きな時に好きなだけ景色を楽しみたい。
天気は結局直前にならないと分からない。
大体はっきりするのは前日。
最終的な出発日は前日に決めるしかない。
そうなると誰かと一緒に行くというのは難しい。
一人なら何とでもなる。
山は危険だ。
だから複数で登った方がいいというのも正論だが、複数で登った方が気が緩み、気が散って怪我をする確率は高くなるのではないだろうか。
一人だと緊張感があり、怪我をしないよう細心の注意を払うことができる。

左は断崖絶壁。
そこから風が吹き上げて寒い。
長袖の上にフリースと雨具で丁度いい。



右手に瑞牆山、中央向こうに八ヶ岳連峰。
八ヶ岳は近いうちにぜひ登りたい!



五丈岩が近くなってきた。
山頂はもうすぐだ。



標高2500m付近に残る雪。



五丈岩。
風が冷たいので、みんな岩陰に隠れて食事している。



南アルプス方面。
肉眼ではもう少し見えたのだが。
一眼レフで撮影すべきか。
遠方に甲斐駒ケ岳など、まだ雪に覆われた高峰の連なる様は感動的な光景であった。



ついに山頂の岩に立つ。
絶景!
360度の大パノラマ。
ビデオではその様子が上手く撮影できたが、こうして1枚の写真では紹介しきれないのが残念だ。



山頂から向こう側。
この道も歩いてみたい!



南アルプス方面。
この写真の方が先ほどの写真よりももう少しはっきりと見ることができる。
一眼レフかあ。
あれを持って登るのもきついなあ。
私が一眼レフを持たない理由は、東京広島往復にこれ以上荷物が増やせないからである。



だんだん雲が出てきた。
天気は下り坂。
帰宅時には雨が降ってきた。
ここしかないというポイントで登山することができ、よかった。



再び新緑の中を下る。



宿泊した瑞牆山荘に帰ってきた。
昼食は500円でお弁当をもらって持っていったのだが、お弁当といってもおにぎり2個。
全く足りない!
3時半のバスまで時間があったので、ハンバーグランチを注文して食べる。
1300円と値段は高いが、スパイスが効いてなかなか美味しかった。



簡単な山ではない。
体力もいるし、怪我をしないよう細心の注意を払って登る必要がある。
ただ、昨日の瑞牆山よりはましだ。
しかし、距離も長く累積標高差も1188mあるため、疲労はどっと来る。
特に森林限界を超えてからの光景は夢のようだった。
数歩歩いては立ち止まり、景色を楽しんだ。
できればずっとここにいたい。
帰りたくない。
そう思うほどの感動的な光景だった。