2008年3月2日篠山ABCマラソン


城、堀、城下町。
周りは走っても走っても田んぼと山のみ。



ナンバー:4258
参加種目:未登録の部男子
氏名:高尾哲也
記録:3時間29分42秒
ネットタイム:3時間25分57秒
順位 533位(5103人中)

1日の夜新大阪に移動。
当日新大阪駅から特急に乗り、9時6分に篠山口駅に到着。
駅にはバスを待つ長蛇の列。
途中で20分間も全くバスが来なくなった。
結局バスに乗ったのが10時前、会場に着いたのが10時10分、受付にたどり着いたのが10時15分。
陸連登録選手のスタートが10時40分、一般のスタートが10時50分だからこれはひどい。
歴史ある大会なのに、一体今まで何を学習していたのか。
段取りが悪いにもほどがある。
急いで着替えて荷物を預け、並ぼうとするのだが、人が多すぎて身動きが取れない。
もう1時間早く到着していいポジションを取るべきであった。
この大会は陸連登録に年齢制限がないようなので、陸連登録すると混雑を避けられる。

自信は全くなかった。
なぜなら長距離練習をしていない。
14kmペース走をしばらくやった後、標高差380m往復11kmの坂道トレーニングを4日間。
お正月には実家で毎日標高280mの前田山に登り、その後スピード練習をしていた。
練習を積んだとは思うが、これが果たしてフルマラソンに通用する練習なのかどうか。
とにかく前田山で練習を積んだ後の谷川真理ハーフマラソンで自己記録を更新したのは自信になった。
調整もよかったのかどうか分からない。
5kmをかなり速いスピードで走った。
そのため足に疲労やダメージが残っている。
「走り始め足が重めの方が結果はいい。」とは言うが、どうも調子がいいという感じがしない。

位置取りに失敗したためタイムロスが大きい。
結果は後日送られてくるのでまだ分からないが、恐らくスタート地点まで3分以上かかっている。
それに、私は4258番だったのだが、4000番台が並ぶべきところにあらゆるゼッケンナンバーが集中し、ゼッケンで分けた意味が全くない。
これはもっと管理しないと駄目だ。
こういうところもなあなあという感じがする。
運営はきちんとやってください。

最初の5kmはかなり人を抜くしかないなと覚悟した。
その通りどんどん抜いていく。
5kmぐらい走るとようやく周りのペースと自分のペースが似たようになり、ここからはゆっくりと抜いていく。
さて、ここから「まどろみ走法」だ。
喜怒哀楽はエネルギーを消耗する。
怒りはその時だけエネルギーを放出するが、そのダメージが後から来る。
だから怒りは瞬発力系のスポーツに適していて、マラソンには適していない。
テンションを下げ、半分眠ったようにして走る。
ただし、1km4分50秒のタイムは維持する。
それより速い場合は遅くし、遅い場合は速くする。
体は速く走りたがっているので、きっとそれほど調子は悪くないのだろう。

どこまで行っても田んぼと山。
すばらしいコースである。
応援もよかった。
野球のユニフォームを着た小学生達が、かなりの箇所で飴やチョコレートを配っていた。
私設エイドも多く、田舎にしては応援も多かった。
毎年恒例の行事で楽しみにしている人も多いのだろう。
2車線の片側を一部区間車が通るというコースが結構あるのだが、ここは100%車なしで走ることができた。
そういう意味では理想的なコースである。
細かいアップダウンや緩やかな上りが多いが、館山、揖斐川、掛川に比べれば可愛いものだ。

12kmぐらいで足がやや疲れてきた。
ほらやっぱり調子悪いじゃない。
ところが1km4分40秒から50秒でどこまでも行ける。
しばらくは4分50秒より速いと落とそうとしていたが、20kmを過ぎると、きっと下りか追い風なんだと好きに走ることにした。
体がそのペースを要求しているのだ。
28kmぐらいから徐々にきつくなってきたが、30kmを過ぎてもタイムが落ちない。
さすがに35kmから腹筋、あるいは呼吸筋が痛くなり、ややタイムを落とす。
どちらなのか分からないのだが、右上なので呼吸筋だろうか。
呼吸筋だとすれば、とにかく優しく息をする。
音を立てない。
呼吸時に音が出るというのは、エネルギーを無駄に使っているということである。
それと、時間を目一杯使ってゆっくり吐いてゆっくり吸う。
速く呼吸してもその分エネルギーを多く使い、空白の時間があるため結局吸う量は同じ、もしくはむしろゆっくり吸った方がたくさん吸える。
「まどろみ走法」でエネルギーロスを極力抑える。
どのポイントが最も楽に走れるか、どのポイントが着地の衝撃が最少か、どのポイントが全身の筋肉を効率よく使えるか、それだけに意識を集中する。
景色や折り返してきたトップ選手も見たいが、記録を目指すためにはそういう余裕はない。
腹筋の痛みはなくなったりぶり返したり。
それでも1km5分10秒をキープ。
今日は自己ベストがでるぞ!
公式記録でも3時間半を切れる!
気合が入ってきた。
腹筋の痛みが消えたのを見計らって4分50秒台にタイムを戻す。
残り2kmからは何とラストスパートができた!
公式記録は3時間29分。
ネットタイム(スタート地点からゴールまで)は多分自己ベストだ!
(早く記録証届いて!)
結局最後まで足は大丈夫だった。
30kmの壁も、35kmの壁もなかった。
しかも終わってからも特に足にダメージがなく普通に歩ける。
これまでで最高のレースである。

<今回分かったこと>
1.坂道トレーニングの効果は絶大!
標高差380m、往復11km程度のトレーニングを毎日連続してこなせば、長距離練習しなくても最後まで足が持つ!
(坂のない埼玉の自宅ではどうしよう。)
上りが前に進む筋肉を鍛え、下りが着地の衝撃に耐える筋肉を鍛える。
2.スピード練習には意味がある。
負荷が大きくなるので故障には注意が必要だが、前に進む筋肉も、着地の衝撃に耐える筋肉も鍛えることができる。
3.レース1週間前からの調整期に速く走ることにも意味がある。
この期間筋肉にやや強い刺激を与えることで、前に進む筋肉も、着地の衝撃に耐える筋肉も、いい状態を保つことができる。
少し疲れやダメージが残っていてどうなんだろうというぐらいが丁度いい。
後は信じて走るのみ。

アシックスのターサーRSアリビオは本当にすばらしかった。
軽くて速いスピードを維持できるのに、クッション性が非常にいい。
今回最高のレースができたのは、このシューズのおかげだ。

秋のつくばマラソンとは全く別人だ。
同じ人間が短期間でここまで変われるとは驚きだ。
あの時は長距離練習をしなければと思い、スピードを落として距離を伸ばそうとしたのだが、それが裏目に出た。
私はLSD、つまりゆっくり長距離を走るという練習があまり好きではない。
しかしフルマラソンを趣味とする以上、避けては通れないと思っていた。
しかし!
実は避けて通れるのだ!
坂道トレーニングはきつい。
しかし楽しい。
楽しみながら練習し、その結果フルマラソンで最後まで足が持つ。
こんなうれしいことはない。

有森裕子さんが20km地点で声をからして声援を送りながらハイタッチしてくれた。
そこまで叫ばなくてもいいのに。
有森さんと言えば、オリンピック、銀メダルもあるが、銅メダルの時のコメント。
「自分で自分を褒めたい。」
これは今思い出しても涙がでる。
この人は一体どこまで自分を追い込んだんだろう。
という訳で、私にとって感動の人であり、ハイタッチしてもらえたのはとてもうれしい。

市橋有里さん(世界陸上銀メダリスト)が途中で止まってバイクのカメラマンと話していた。
きれいな人だ。
20代で引退とは輝ける瞬間の何と短いスポーツであることか。
怪我をするかしないか、ぎりぎりのところまで自分を追い込まなければ勝てない。
第一線で活躍できるのはせいぜい35歳まで。
あまりにも消耗が激しいために年に1,2回しかレースで走れない。
何と厳しい競技なのだろう。

<今日食べたもの>
朝食は特急列車で
サンドイッチ一袋 プロテイン入り豆乳 バナナ2本 リンゴ半分 カーボショッツ3袋 アミノバイタルプロ1袋

篠山口駅でバスを待っている間に
カーボショッツ2袋 アミノバイタルプロ1袋

レース中
10kmごとにカーボショッツ1袋、合計3袋

レース直後
バナナ2本 伊予柑 プロテイン入り豆乳 アミノバイタルプロ1袋 水500ml

会場からバスに乗る前に
肉うどん
(普段は汁を残すが、フルマラソンで失われた水分と塩分を補給するために一気に飲み干す。)

特急列車に乗る前に
C1000タケダ

新大阪までの特急列車で
アクエリアス500ml 水300ml

新幹線に乗る前に
100%オレンジジュース350ml

新幹線で
篠山で買った炊き込みご飯

実家で夕食
ご飯2杯 トンカツ 鳥レバーの甘辛煮 ブロッコリー、人参、じゃがいも、レタスのサラダ、コンニャク、昆布、カブの酢の物、ポンカン、自家製ネーブルなどなど

<ガーミン解析>
平均ペース4分51秒!
42.195kmをかけると3時間24分台になる。
平均心拍数155bpm。
4分40秒台がずらりと並び、壮観!
今日ぐらいは自分を褒めてもいいだろう。
37kmから5分0秒台が4つ。
終盤、腹筋が痛くてきつかったが、失速が最小限で済んだ。
41kmからは再び4分台。
ラストスパートは3分台まで加速。
こんな余力があるとは驚いた。